国土交通省は2月28日、建設工事に配置する主任技術者などの登録制度の創設を検討していることを明らかにした。不正行為を働いた技術者に対しては、登録を取り消すなどの処分を下す。不正の抑止効果が期待される半面、技術者にとっては手続きの手間や費用負担の増大が懸念される。
主任技術者や監理技術者には、施工管理技士や技術士、建築士などの資格保有か、所定の実務経験が求められる。技術者の不正行為に関して、技術士法と建築士法に罰則があるほか、建築士には行政上の懲戒処分の規定もある。しかし、施工管理技士については、根拠法である建設業法はそうした規定を設けていない。
主任技術者の制度自体にも罰則や処分の規定はない。監理技術者には国交省所管の建設業技術者センターが資格者証を交付する制度があるが、主任技術者と同様に罰則や処分の規定は設けていない。
国交省は2月28日に開いた有識者会議「適正な施工確保のための技術者制度検討会」(座長:小澤一雅・東京大学大学院教授)の会合で、技術者倫理の観点から主任・監理技術者の登録制度を検討課題に加え、制度案のイメージを提示した。重大な不正行為があれば登録取り消しがあり得るとした。
上記は、日経コンストラクション(2017.3.3)「配置技術者の登録制度創設へ、負担増の懸念も」の記事ですが今回検討課題とやっとなった「不正行為に対する罰則規定」が無かった事こそが、この土木業界の今までの在り方をそのまま反映しているかのように思えます。
現場では発注者(※公共工事では国や自治団体等)の設計通りに現場を納める事を要求され、今風に言えば「設計ファースト」的な考えが以前から蔓延しています。多くの発注者は計画通りに物事が進まないと公的立場上つじつまが合わせ難くなる事を嫌います。設計の根拠が薄れる事や設計金額の変更の手間を避けたいのは当然ですが、工事施工の役割を分担させた事を忘れてはなりません。そして土木業界は通常、机上の設計を実現すべく「現場ファースト」を追求し工事として答えなければならないはずです。「設計ファースト」に見せかける事で発注者のご機嫌を伺う体質に陥ってはなりません。土木業界は「姿勢を正し」、「何が土木業界の仕事の本質か?」を見極めることが大切です。不正行為が小さい・大きいの問題ではなく。正しい事を選ぶ事が必要な事は明らかです。我々は、正しい行いで幸せを追求する土木業界へと変革する事が急がれているのです。そして「現場ファースト」を進める事こそが変革への道なのです。